生活習慣病とは

結核菌が肺に感染して慢性の炎症を起こす病気を肺結核といいます。動脈硬化症が進行して心臓を養っている冠状動脈が詰まると、心臓の筋肉が死んで激しい胸痛を起こします。こういう病気を心筋梗塞といいます。

しかしこのような意味での生活習慣病という特定の病気はありません。

生活習慣病は、1996年に厚生省(現・厚生労働省)が公式に使い始めた、行政のための言葉です。生活習慣が病気の原因になり、その発病や進行に大いに関係している、いろいろな病気をまとめていっているのです。

具体的には循環器病(動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中など)、がん(大腸がん、肺がんなど)、糖尿病、高脂血症、肥満、高血圧症、骨租寮症、肺気腫、アルコール性肝障害など多数の病気が含まれます。

なぜ生活習慣病という言葉を使うのか

先に述べた病名をみると、かって成人病と呼ばれていた病気であることにお気づきでしょう。成人になるとかかりやすい病気、老化現象を基盤としている、やむを得ない病気というイメージです。

しかし実は患者さん自身が子どもの頃から健康に気をつけ、よい生活習慣を身につけていれば、発病を防ぎ、あるいは病状を軽くすることができる病気なのです。

つまり生活習慣は個人の努力で改善できるものであり、それによってこれらの病気の発病や進
行を防ぐことができるという立場から、生活習慣病というのです。

どのような生活習慣が望ましいか

1972年にアメリカのブレスローらが、次の生活習慣の内で、実行している項目数の多い人のほうが健康であると報告しています。

1. 適正な睡眠
2. 禁煙
3. 適正体重の維持
4. 適正な飲酒
5. 運動
6. 毎日朝食を摂る
7. 間食しない

もちろん7項目をすべてしっかり実行していても病気になる人はいます。しかしよい生活習慣を身につけることにより、より長く健康で活動的に生きることができるのです。

なぜ生活習慣病は防ぎにくいのか

1.発病するまで症状がありません
脳卒中や心筋梗塞で倒れ、不幸にして死亡しても、その直前までとくに異常な症状がないことはしばしばです。

2.日常生活が便利になりすぎています
交通機関が発達した結果、人々は以前のように歩かなくなりました。また、建物の中でも、1階か2階上下するだけでも、エレベーターやエスカレーターを使う人が多くなりました。要するに運動不足になったのです。

3.食生活が贅沢になっています
戦後日本の経済が復興するにつれ、食事の内容が贅沢になり、栄養過多になりました。運動不足とあいまって肥満の原因になっています。

4.ストレスが多く、生活が不規則になっています
いろいろな情報が瞬時に世界中をかけ巡るようになり、社会、経済の動きも複雑かつ速くなりました。ゆっくり人間関係を作り上げる暇もありません。ストレスも増えています。

現在の私たちの生活様式そのものが、生活習慣病を作り、またその予防を難しくしているのです。

生活習慣病を防がなければならない理由は何か

1.生活習慣病は日本人の最大の死因になっています
私たちの死因は多い順からがん、心臓病、脳卒中となっています。これだけで死因の約6割を占めているのです。いずれも生活習慣病です。

2.医療費が膨大になっています
国民医療費は最近では30兆円に達していて、その3分の1は老人医療費です。このままでは健康保険は立ち行かなくなるでしょう。今までのような早期発見、早期治療を中心とする二次予防や、発病後の悪化防止や社会復帰促進では間に合いません。今や病気の原因を根本的に除く一次予防が求められています。

3.健康な生活をより長くしたい
人間は必ず死ぬ生物です。そのことはだれもが承知していますが、できるだけ長生きしたいと願っています。しかも元気で生活を楽しみ、死ぬときは安らかにありたい、つまり健康で長生きしたいのです。半身不随や痴呆状態、あるいは少しの動作でも胸が苦しくなり生活がままならない、というような期間を少しでも短くするためには、これらの原因となる生活習慣病を防ぐ必要があるのです。

具体的にどのような生活をすればいいのか

基本的には喫煙、飲酒を含めた食事に関する習慣、運動および睦眠に関する習慣を正しくすることです。それによって適切な睡眠時間を確保し、適正な体重を維持することができます。このことをしっかり認識することが大切です。